依存関係マッピングを使用して依存関係を視覚化・チームのアジリティを高める方法

読み取り時間 : 約16分

トピック :

    別のチームに作業を依頼したのに、そのチームがまだ作業を完了していないためにプロジェクトに遅延が発生してしまった経験がある方なら、依存関係がいかに苛立たしく混乱を招くものかよくご存知でしょう。依存関係を排除するか、軽減しないと、ボトルネック、遅延、不整合が生じ、全社の進捗が妨げられる可能性があります。

    しかしながら、そもそも潜在的な依存関係を特定できない場合、依存関係の解決は困難ですよね。アジャイルチームが業務フローの構造上の障害を排除して軽減するには、施策を計画する際に依存関係を明確に把握する必要があります。

    依存関係マッピングは、チームが依存関係を理解し、積極的に排除し、必要に応じて管理するのに最適な方法です。依存関係マッピングの主な目的は、ワークフローのさまざまな要素が相互にどう依存しているかを明確に視覚化することで、チーム間の明確性を高めることです。

    動的な依存関係マップを作成し、最終的に組織全体の効率性とアジリティを高める方法については、以下をご覧ください。

    依存関係マッピングとは?

    依存関係マッピングとは、プロジェクト、施策やシステム内の要素間の関係、つまり依存関係を視覚的に表現した依存関係マップを作成するアクティビティを指します。さまざまな作業要素は互いに依存していることが多いため、顧客に質の高い価値を提供することを目指す場合、依存関係はチームに大きな影響を与える可能性があります。例えば、自分のチームが作業を始める前に、別のチームにある特定の施策において役割を果たしてもらう必要があるかもしれません。

    これらの依存関係をマッピングすると、作業要素の相互の関連、業務フロー内で構造上の障害が発生する可能性について把握するのに役立ちます。また、他のチームとの連携が必要なポイントも正確に確認できます。依存関係のマッピングは、大部屋プランニングスプリント計画の過程など、アジャイル開発の中での初期の段階で行う必要が多くあります。

    依存関係マップを使用することで、アジャイルチームは構造上の障害に対処するための最善のアクションを決定できます。チームは通常、次の3段階のプロセスに従って依存関係に対処します。

    1. 排除
      最初かつ最善の選択肢は、依存関係を完全に排除することです。依存関係をマッピングするときに、そもそもその依存関係が本当に必要かどうかを自問しましょう。依存関係が発生しないように作業をさらに細分化したり、チームを再編成したりできる可能性があります。

    2. 軽減
      依存関係を排除できない場合は、影響の少ない依存関係に置き換えることで依存関係を軽減できるかどうかを検討します。作業要素間で影響の少ない関連性を作成する一時的な解決策を実装できるか、依存関係をより管理しやすいものに置き換えられるアーキテクチャの変更はあるかなどを検討します。

    3. 管理
      排除と軽減を試みた後、回避や代替ができない残りの依存関係の管理に重点を移します。

    ただし、そもそも把握していないものを排除、軽減、管理することはできません。ここで役立つのが依存関係マップです。依存関係を理解するには、まずそれらを視覚化する必要があります。

    依存関係を視覚化する方法

    業務フローを可視化するには次のような図表を使用できます。

    業務フローを視覚化したら、施策を完了させる上で互いに依存し合う作業の要素を矢印で結んで、タスク間の関係 (依存関係) をマッピングできます。各矢印は依存関係を表します。どの要素が他の要素に依存しているかを示すため、矢印を色分けして方向を示せます。

    バックログ管理ツールなどの一部の記録システムでは、これらの依存関係を視覚化することが困難だったり、不可能だったりする場合があります。依存関係を視覚化するには、ビジュアルコラボレーションプラットフォームで依存関係マッピングを使用するのがおすすめです。

    Lucid ビジュアルコラボレーションスイートを使えば、既存の記録システムと自動的に同期する依存関係データをリアルタイムで簡単にマッピングできます。Lucid で依存関係マップを作成することで、チーム間の理解を深め、組織内のチーム間の関係も示せます。また、ワークフロー内の依存関係を記録し、マップをリアルタイムで更新し、発見した情報を他のチームと簡単に共有できます。

    Lucid は JiraAzure DevOps (ADO) と直接統合するため、手動でデータを更新する必要がなく、依存関係をビジュアル的デザインで作成できます。Lucid の自動双方向同期により、Jira や ADO から依存関係をインポートすることも、Lucid で新しい依存関係を作成して Jira または ADO にインポートすることもできます。

    行動を起こすべき分野を浮き彫りにしてくれる Lucid の依存関係マッピング機能はチームにとって非常に有益です。依存関係が発生する可能性のある場所を確認することで、業務フローの構造的な障害を排除し、軽減し、必要に応じて管理するための措置を講じることができます。

    Lucidを時短しながら使用開始

    Lucid を使った依存関係マッピング

    Jira と Azure DevOps からの依存関係データをリアルタイムで視覚化する方法を学びます。

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    ビジュアルコラボレーションプラットフォームで依存関係マップを作成する利点

    付箋やマーカーを使って書いた矢印をホワイトボードに書き留めて依存関係をマッピングすることが一般的で有効かもしれませんが、このアプローチをオンラインに移すことによって現れる依存関係マッピングに固有の利点も多々あります。

    ビジュアルコラボレーションプラットフォームで依存関係をマッピングすると、次のことが可能になります。

    • ツール間で信頼できる唯一の情報源を維持できます。ビジュアルプラットフォームを使用することで、技術スタックを統合し、依存関係マッピングの記録となる文書リポジトリを確立して、チーム全体が必要なタイミングで参照できるようになります。うまくいったこととそうでないこと、改善のアイデアを記録しておくと役立ちます。

    • 可視性とアクセスを強化します。ビジュアルプラットフォームにより、チーム間や関係者間で依存関係マップを簡単に共有でき、分散したチームでも依存関係の解決がしやすくなります。また、バージョン履歴にアクセスしてワークフローの依存関係が経時的にどう変化したかを把握することもできます。

    • 連携と部門間のコラボレーションを向上します。ビジュアルプラットフォームでの依存関係マッピングで、メンバーは自分のタスクが全体的な業務フローにどう関係するかを理解しやすくなり、問題点となってしまう過程を特定できます。ビジュアルプラットフォームで依存関係マッピングを行うことで、チーム内だけでなく組織全体での連携とコラボレーションを強化できます。

    • 複数のレベルでのパターン認識と分析を強化します。ビジュアルプラットフォームでは、チームレベルと組織レベルのビュー(視点)を簡単に切り替えて個々のタスク要素からシステム全体のパターンに至る依存関係を特定できます。依存関係をフィルター処理して検索し、構造改善の機会を見つけるのが簡単になります。

    依存関係マッピングのベストプラクティス : 依存関係を特定して対処するための6つのヒント

    依存関係マッピングの概要や依存関係を視覚化する方法がわかったところで、次のベストプラクティスに従って、業務フローの依存関係を積極的にマッピングしてみましょう。

    依存関係をマッピングする際のステップ
    業務フロー内の依存関係を識別して対処するための6つのヒントを紹介します。

    依存関係の解決を優先する

    依存関係はできるだけ早く認識することが重要です。依存関係の解決に優先順位をつけられる依存関係マッピングは、プロジェクト計画の初期段階で非常に役立ちます。業務フローで発生する可能性のある障害を特定し、その後排除または軽減していきます。このプロセスには次の内容が含まれます。

    • 価値と優先度の高い作業項目を妨げる依存関係を早期に特定

    • 障害を最小限に抑えるため作業を順序付け

    • 他の優先度の高い項目の障害を解消するために実行すべき作業項目を優先順位付け

    実行例で見てみましょう。機能 A (優先度高) がコンポーネント B が最初に構築されることに依存している場合は、次のようになります。

    • この依存関係の排除を試みます。機能 A を別の方法で構築できないか検討します。

    • 排除できない場合は、業務フローの早い段階でコンポーネント B の構築を優先する必要があるかもしれません。

    • もしくは、機能 A を分割し、コンポーネント B に依存せずに重要な部分を提供できるようにすることもできます。

    「優先度高」と見なされる作業項目は作業のコンテキストによって異なります。あるチームでは特定の機能が優先度高であっても、その他のチームでは1つの作業項目が他の多くの項目の障害となる可能性があるため、まずその作業項目に対処する必要があります。依存関係マッピングを使用して、優先度高の作業項目を事前に特定し、作業開始前に依存関係の解決に重点を置きます。

    依存関係を最小限に抑えるために作業を細分化する

    作業をより細かく、独立した要素に分割すると、外部要因や他チームへの依存を最小限に抑え、依存関係の可能性を減らすことができます。作業の要素を小さくすることで、チームメンバーは自分の具体的なタスクを理解し、それらのタスクがより大きな目標にどのように適合するかを理解しやすくなります。

    チームは、バックログの絞り込み中に アジャイルソフトウェア開発プロジェクトのINVESTなどの手法を使用してできるだけ小さく「独立した」項目を作成します。この手法は、依存関係を最初から積極的に排除するのに役立ちます。バックログの絞り込みはチーム全体が関与する継続的なアクティビティであり、各人が完了する項目と自分の役割や責任を確実に認識し、最初からチームの連携を強化するのに役立ちます。

    アジャイル開発プロダクトバックログ見直しテンプレート
    チームが作業項目をできるだけ細かく独立した要素に分割するのに役立つ Lucid のテンプレートです。

    他のチームと緊密に連携する

    依存関係マッピングを成功させるには他チームと定期的に調整する必要があります。結局のところ、他のチームが何に取り組んでいるか、それが自分のチームの仕事にどう影響するかがわからなければ、依存関係を図解してもうまくいきません。

    部門横断型コラボレーションにより、タイムラインの調整、情報の共有、障害や遅延への迅速な対応が可能になります。チームメンバーが部門横断的なスキルを身に付け、依存関係にある他のチームとの明確なコミュニケーションチャネルを確立できるように支援しましょう。

    Lucid のようなビジュアルコラボレーションプラットフォームを使用すると、共有キャンバス上で複数の部門のチームを集め、リアルタイムや非同期で共同作業を行えます。会議中に、またはそれぞれの都合がよいタイミングで関係者を招待して意見を出してもらうこともでき、チームはフィードバックを待たずに作業を進めることができます。

    部署を超えたコラボレーションのヒント

    自信を持ってチーム間でコラボレーションするためのベストプラクティスを紹介します。

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    予期せぬ遅延に備えてバッファを構築する

    前もって依存関係を特定しようしても、作業が進むにつれて遅延は自然と発生します。

    これを考慮に入れておくには、チームの制御できない範囲で発生しうる依存関係に対処できるよう、スプリントの計画時にバッファ時間を含めます。こうすることで、プロジェクトの中断や遅延につながる可能性のある予期しない状況に備えた時間を組み込むことができ、スプリントの目標を時間どおりに達成できます。

    チームに合わせてこのスプリント計画テンプレートをカスタマイズし、予期せぬ依存関係や遅延に備えてバッファ時間を追加します。
    チームに合わせてこのスプリント計画テンプレートをカスタマイズし、予期せぬ依存関係や遅延に備えてバッファ時間を追加します。

    スパイクを使って依存関係を調べる

    複雑な状況では、依存関係の処理方法をよりよく理解するために「スパイク」(時間制限のある調査) を行えます。依存関係のスパイクは、チームが情報に基づいて進め方を決定できるようにすることを最終的に目指す、学習とリスク軽減に焦点を当てた短期間の活動です。

    依存関係スパイクは次の用途に役立ちます。

    • 作業を別の方法で分解する方法をプロトタイプとして作成する。

    • 依存関係の解消に役立つさまざまなアプローチを研究する。

    • 排除できない依存関係を処理するためのオプションを調べる。

    こうしたスパイクの際には、業務フローを視覚化し、調査の指針となる依存関係マップが役立ちます。

    依存関係から学び、継続的な改善を促す

    アジャイルの考え方の主要な側面に継続的な改善があります。依存関係マッピングを使って、業務フロー内の障壁から学び、将来的に依存関係をより効果的に解決するための戦略を立てられます。

    振り返りは、個々の依存関係と、チームの働き方の改善に役立つ広範で大まかなパターンの両方を調べるのに最適な機会です。どの依存関係をうまく排除でき、どの依存関係を管理しなければならなかったか、依存関係を今後さらに減らすために変えられる慣行や構造の要素は何かなど、メンバーに質問してみましょう。

    スプリントレトロスペクティブのテンプレート
    スプリントレトロスペクティブ中に、依存関係の解決を改善して継続的な改善を推進する方法を確認します。

    依存関係を共通のオンラインスペースで文書化し、依存関係の記録をクラウド上で保持すると、チームが次のような作業を実行できるようになります。

    • 排除が難しく、継続的に遅延やリスクを引き起こしている依存関係を確認する。

    • より深刻な構造上の問題を示す可能性のある、繰り返し発生する依存関係のパターンを特定する。

    • 依存関係を排除・軽減するため、作業の細分化に有効だった戦略やその他の方法を共有する。

    • 時間の経過に伴う依存パターンの改善を追跡する。

    依存関係マッピングを使って効率とアジリティを向上

    アジャイルチームは継続的な改善と顧客への高い価値の提供を重視します。このようなチームにとっては、最初に何を改善すべきか、そして遅延や低品質の納品を引き起こす要因となる要素を特定することが役立ちます。

    依存関係マッピングは、チームが業務フローにおける依存関係を特定、排除、軽減するために非常に有用なツールで、遅延の最小化と効率の向上につなげられます。Lucid を使用してチームの依存関係を可視化し、ビジュアルコラボレーションプラットフォームが組織全体の部門横断的なコラボレーション、コミュニケーション、アジリティの向上にどう役立つかを見てみましょう。

    Lucid で変化にうまく対応

    Lucid ビジュアルコラボレーションスイートがチームのアジリティを高め、より効率的に価値を提供する方法を学びます。

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    Lucid について

    Lucid Software は、チームが将来を見据え、築くための支援に特化したビジュアルコラボレーションの先駆者でありリーダーです。その製品である Lucidchart、Lucidspark、Lucidscale を活用することで、チームはアイデア出しから実行に至るまで共通のビジョンを抱き、複雑な内容も分かりやすく理解できるビジュアル主体のコミュニケーションをあらゆる場所から実現できるようになります。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucid.co を参照してください。

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