イノベーション人材とは？主要なスキルの育て方や特徴を完全解説

イノベーションは、現代の多くの企業が従業員に求める重要な能力のひとつです。従業員は、革新的な発想を持つことを奨励されており、顧客により高い価値を提供するための新しいアイデアやアプローチを生み出すように促されています。

本当にイノベーションを起こすためには何が必要なのでしょうか。イノベーションは生まれ持った才能ではなく、身につけられるスキルです。さらに、あなたにもすでにその基礎はあるはずです。正しい考え方といくつかの重要な戦略があれば、誰でも異なる考え方を磨き、現状の打破に挑み、大胆なアイデアを現実にすることができます。

このブログ記事では、職場でさらにイノベーションを起こせる人材になるために必要なイノベーションスキルを発見し、革新的なブレインストーミングセッション、実験、意思決定などを始めるのに役立つヒントやテンプレートを紹介します。

イノベーション人材とは？

イノベーション人材とは、新しい価値を創造し、変化をリードできる人材のことを指します。既存の枠にとらわれず、問題を新しい視点で捉え、柔軟かつ創造的に解決策を提案・実行できる力を持っています。企業や組織において、変革や成長の原動力となる存在です。リーダー型のイノベーション人材も注目できますが、ここでは個人的なイノベーション人材になるためのスキルに焦点を当てます。職場で革新的になることは誰にでも可能で、イノベーションチームに所属したり、特定の役割やレベルに属する必要はありません。

イノベーション人材になるためのスキルは、既成概念にとらわれない思考に加え、顧客の問題を特定し、アイデアを試し、新しい機会を探り、知識を共有できる能力も含みます。個人レベルで真に革新的であるためには、効果的な顧客調査、好奇心、実験といった特別なスキルを実践する必要があります。

企業としてイノベーション戦略が確立されている場合でも、その取り組みが始まったばかりの場合でも、イノベーション推進の意図を支える人材が従業員の中ににいなければ、その意図はどこにも行き着きません。

職場でイノベーション人材が必要とされているな理由

イノベーション人材のトレーニングに投資することで、イノベーションの一貫性を全体的に高めることができます。イノベーションスキルを身につけることで、ビジネス課題の解決を偶然のひらめきに頼る必要がなくなり、社内プロセスの改善、外部的事象への対応、新しいソリューションの市場投入など、あらゆる問題に応用できる戦術的なスキルセットを構築できるようになります。革新的な人材は、より適応力があり、変化に対してより柔軟に対応できます。

イノベーション人材を育むことによって、自分の成果を価値の高い施策に結びつけ、自分のアイデアが影響を及ぼすことを実感できるため、仕事に対する意欲も高まる傾向があります。繰り返しますが、イノベーションは誰でも起こせます。イノベーション人材への投資は、より大きなチームとしての目標への積極的な貢献を可能にします。

知っておくべき6つのイノベーション人材なら持っていたいスキル

イノベーション人材への投資は重要ですが、具体的にはどのようなスキルを指すのでしょうか。そして、イノベーションスキルはどのように向上させればよいのでしょうか。以下では、職場で知っておくべき、そして実践すべき6つのイノベーションスキルを紹介します。これらを組み合わせることで、個人が持続可能なイノベーションに必要なスキルセットを開発するための重要な要素を獲得できます。

1. 顧客調査

イノベーションの本質は、顧客の問題を根本的に理解することです。多くのチームが、顧客が本当に必要とするものは何なのかを理解する時間を取らずにソリューションの構築に集中してしまうという過ちを犯しています。観察、データ収集、そして積極的な傾聴を通じて、顧客および顧客が抱える問題を理解することができます。これが革新的な解決策を見つけるための第一歩です。

「顧客」の定義は、ここではサービスや製品を提供する必要がある人のことを指します。場合によっては、「顧客」が必ずしも自社製品の実際の顧客であるとは限らず、既存の社内プロセスを革新する場合であれば、同僚や他のチームの人が顧客になります。

顧客調査スキルを向上させるために、次のような手順を実行します。

• 調査計画の作成

• ユーザーペルソナの構築

• カスタマージャーニーマップの作成

• 顧客アンケートの送信

効果的な顧客調査を行うには、まず顧客に適切な質問をすることが重要です。漠然とした質問や、顧客自身の行動を予測させるような「くだらない」質問ばかりするのは避けましょう。まずは、具体的で、偏りがなく、過去に焦点を当てた質問から始めます。例えば、「この製品はどのように役立つと思いますか？」と尋ねるのではなく、「この製品は、過去1週間のうちいつ、あなたの業務の完了に役立ちましたか？」と尋ねます。

ここで重要なのは、好奇心と、控えめで謙虚な姿勢です。革新的な人は、問題を理解しており、すぐに最善の解決策にたどり着けると決めつけることはせず、常に異なる視点や選択肢にオープンです。イノベーションにおいては、この好奇心が顧客を理解する上で特に重要です。好奇心を活かし、顧客にとって有用かつ新しいソリューションを提供することに注力しましょう。

さらに、顧客調査の結果を文書化し、フィードバックを記録するための一元的な場所があると便利です。ビジュアルコラボレーションプラットフォームを使用すれば、テンプレートを活用して調査をスムーズに開始し、調査結果の履歴を保管できます。すべてを一か所にまとめることで、顧客が直面している問題に対する潜在的な解決策を模索する上での文書リポジトリを構築し、イノベーションリポジトリへと発展させることができます。

2. 発散的思考

顧客の問題を探り、革新的な解決策を考案する際に、持っておくべきもう1つの戦術的スキルが発散的思考です (収束的思考と組み合わせるとさらにさらに有効です。詳細は後述)。発散的思考とは、問題に対して多様なアイデアを生み出す能力です。顧客調査を行う際、発散的思考は複数の視点や可能性を探るのに役立ち、通常では見つからないかもしれない解決策を導き出します。発散的思考は、顧客の思考の根源や直面している問題をより深く理解するのにも役立ちます。

ブレインストーミングセッションは、発散的思考を実践する絶好の機会です。ユニークで創造的なアイデアを生み出す効果的なブレインストーミングセッションを開催するには、既成概念にとらわれない思考を促すテンプレートから始めましょう。タイマーをセットし、必要に応じて小グループに分かれ、ブレインダンプ中にアイデアが重複しても気にしないようにします。

アイデア出しの段階では多くのアイデアを生み出すことが目的なので、ブレインストーミングセッションは構造化する必要があります。これは一見、直感に反するようにも思えますが、明確な構造や制約がないと集中力を失いやすくなります。期限やビジネス要件、予算などの制約をアイデア出しプロセスに追加し、意図に合わせて戦略的に進めます。

発散的思考と創造性を促すために、ブレインストーミングの際に次のテンプレートを試してみてください。

• 制約条件は、複数の制約を設定して焦点を合わせるのに役立ちます。

• ワールドエクスプローラーは、参照の枠を広げるための構造を提供します。

• アイデア出しテンプレートは、議論される内容とブレインストーミングに要する時間を明確にします。

3. 収束的思考

イノベーションスキルを効果的に伸ばすには、発散的思考と収束的思考を組み合わせることが重要です。真のイノベーションには、どちらか一方だけではなく、両方の思考が必要です。収束的思考は、考え出した多様な解決策の中から単一の解決策を絞り込むのに役立ちます。最終的にはアイデアを絞り込み、顧客に提供可能なアクションプランにまとめる必要があるため、この手法は非常に重要です。

ブレインストーミングセッションの後、アイデアを収束させて、実際に試すものを選ぶ必要があります。これにより、素晴らしいアイデアをイノベーションの実験段階に進めるための明確で実行可能な計画を作成できます。発散的思考と収束的思考の両方を発展させることで、常に新しくユニークな方法で機会や課題にアプローチし、それらのアイデアを実際の次のステップに落とし込むことができます。

収束的思考を磨くために実践できる戦略はいくつかあります。アイデアを行動に移すテンプレートを使えば、アイデアをどのように組み合わせられるかを理解するのに役立ちます。次のステップを特定するだけでなく、仮説を立て、それぞれのアイデアの成功を測定する方法も考えます。また、構想を深めるテンプレートを使えば、元のアイデアをより深く検証し、実行可能な解決策に発展させることができます。

4. 実験の設計

顧客調査を行い、発散的思考と収束的思考の両方を使って顧客の問題の根本に迫ってきましたが、イノベーションは単なる解決策ではなく、その解決策に至るプロセス全体であることを忘れないようにしましょう。

イノベーション人材の重要なスキルの一つは、イノベーションのプロセスを導き、理解を深め、反復していくための効果的な実験を設計する方法を学ぶことです。実験に長けた人は、MVP の概念を理解し、効果的な仮説を立て、継続的な学習に前向きです。

MVP とは実用最小限の製品を指し、最小限の労力とリソースで顧客を満足させる製品の最も基本的なバージョンを意味します。MVP は製品開発とイノベーションの優れた出発点であり、急速に学習しながら機能を追加できる最小のバージョンです。いきなり完全な製品を開発するのではなく、MVP からスタートして顧客からのフィードバックを集めることで、情報に基づいた意思決定を行います。

イノベーションのこの段階 (反復段階) では、提案したソリューションのプロトタイプを構築しテストすることで仮説を検証します。検証すべき2つの仮説は次のとおりです。

• 成長仮説。この製品において、またはビジネスにとって、持続可能な成長をどのように達成できるでしょうか？

• 価値仮説。製品やサービスがどのように顧客に価値を提供し、収益を生み出すでしょうか？

低コストかつ効果的にソリューションをテストすることは、イノベーションに不可欠なスキルです。早期の顧客データを集め、ソリューションに関する重要な仮定を理解し、最終的に学びを得ることができます。実験と学習を繰り返すことで、製品を継続的に改善し、成功するソリューションへと発展させることができます。

効果的な実験を設計するには、実験マップと「構築」と「学び」カードを試してみてください。また、ワイヤーフレームテンプレートで製品のプロトタイプを作成することもできます。

5. データドリブンな意思決定

もう一つの戦術的イノベーションスキルは、データに基づいた意思決定です。革新的な人は、リスクを軽減し、機会を多様化し、行動を導くためのデータを集める方法を模索する際に、株式仲買人のように考えます。

顧客調査を実施し、ソリューションのプロトタイプをテストしていくと、顧客からの貴重な体験談を数多く得ることができます。これは非常に重要なデータですが、意思決定につなげるには、実際の定量データも必要です。定性データは得るところが多くイノベーションに有益ですが、指標は、顧客が単にソリューションを気に入っているかどうかではなく、ソリューションがどのように価値を提供するかを判断するためのより信頼性の高い方法となります。

株式仲買人のように考えると、感情からは極めて乖離した思考になりがちですが、定性データの個人的な側面と組み合わせることで、さまざまな情報源からバランスの取れた情報を収集できるようになります。データドリブンの意思決定スキルがあれば、顧客をサポートするソリューションを導き出すと同時に、その選択を裏付ける定量的な証拠も得ることができます。

イノベーションテンプレートを使用して、意思決定の根拠となる強力な指標を作成し、製品の成功がどのようなものとなるかを判断するのに役立てましょう。

6. アイデアの提案

結局のところ、イノベーションは孤立した状態で起こるものではありません。個人レベルでイノベーションを実践することは可能であり、そうすべきですが、もう一つの重要なイノベーションスキルは、革新的なアイデアやコンセプトを顧客に売り込むことです。この「顧客」が実際に会社の製品を購入する人でも、別の部署のチームメンバーでも、それは変わりません。

イノベーションには多くのコラボレーションと明確な表現が必要です。革新的な人は、自らの目標、成功のための指標、そして実験から得た学びを明確に表現することができます。こうした情報を分かりやすい方法で共有することで、ステークホルダーからより多くのサポートが得られます。革新的なアイデアを思いつくことはもちろん重要ですが、それを他の人に伝え、賛同を得られるかどうかはまた別の話です。

革新的なソリューションを構想から検証へと進めるには、まずは賛同を得ることが重要です。解決する価値のある問題を特定したら、実験の必要性と必要なサポート (資金など) を正当化するコンセプトピッチを作成できます。実験を行った後は、検証ピッチで結果と市場への適合性を示します。

ビジュアルコラボレーションプラットフォームを使ってすべての情報を集めてプレゼンすることで、知識をスムーズに共有できます。ビジュアルコラボレーションプラットフォームを使えば、実験データ、ブレインストーミングの結果、他者からのフィードバックなど、すべてを一箇所にまとめることができます。テンプレートを使ってアイデアを売り込むプロセスを開発し、アイデア出しから検証まで進めることも可能です。

イノベーション人材になるために

主要なイノベーションスキルを理解できたところで、これらのスキルを伸ばして、より革新的な人になる方法を考えてみましょう。幸い、イノベーションを促進するための選択肢やリソースは以下を始め豊富にあります。

• 新しい機会を探す。革新的な人は行動志向で、自分の理論を試したり、新しいことに挑戦したり、新しい視点を得たりする機会を積極的に探します。常に新しいプロジェクトや現行のプロセスを改善する機会を探し続けることができます。多くの革新的な人は、ネットワークを広げ、通常の人間関係の枠を超えて新しい視点を得ようとし、あらゆる機会に対して「イエス」と答え、新しい道や探求を受け入れます。

• 発見を共有する。調査を進め、新しい機会を発見した際には、チームと知識を共有することが重要です。そうすることで、全員が共に学び、成長できます。知識の共有はイノベーションを生み出す上で重要な要素です。繰り返しになりますが、イノベーションは孤立して生まれるものではありません。実験の成否に関わらず、経験を共有することでイノベーション戦略を策定しやすくなります。

• 失敗を恐れない。失敗を恐れない考え方はイノベーションにとって重要です。失敗を学びの機会と捉え、欠点から学び、再挑戦することができます。アイデアをテストしていくうちに、当初のアイデアが必ずしも適切ではなかった、あるいは顧客に十分な価値を提供できていなかったことが明らかになるかもしれません。学んだことを記録しておけば、将来の改善の基盤となります。

• イノベーションを測定する。イノベーション人材になるためには、実験やプロジェクトを測定して進捗を把握することが重要です。特に個人レベルでイノベーションを測るうえで重要な方法は、カウント指標 (例えば「いくつ」の新しいアイデアを思いついたかなど) ではなく、率やパーセンテージに焦点を当てることです。カウント指標は活動量を測りますが、パーセンテージは設定した目標に対する実際の進捗を測ります。

• 構造を活用して創造性を育む。多くのイノベーション人材は、イノベーションに一貫性と指針を与えるために、何らかのフレームワークを採用しています。構造を導入することで再現性につながり、創造性が向上します。イノベーションのためのフレームワークを構築したら、プロセスを繰り返し (反復することで) 、アイデア出しから実際の提供へとイノベーションを導くことができます。

Lucid でイノベーションスキルを磨く

イノベーションスキルは、複雑なビジネスの問題が発生した場合の解決に役立ちます。好奇心、実験のデザイン、発散的思考などの戦術的なスキルセットを磨くことは、より革新的になりたい人にとって大きな助けとなります。

Lucid は、クリエイティブなブレインストーミングセッションを促進するテンプレートから、すべてのアイデアや実験を記録するための一元的なリポジトリの提供まで、あらゆる段階でイノベーションをサポートします。Lucid を使って検証ピッチを作成し、革新的なアイデアをステークホルダーと共有することもできます。Lucid が個人のイノベーションスキルセットの開発と維持をどのように支援しているかの詳細は、こちらをご覧ください。